ソニー・ロリンズのサックスには、力を込めてしゃくるような箇所がひとつもない。まるでありものの具材を中華鍋に放り込んで一振りしただけで見たことのないご馳走を作ってしまう、恐ろしく手際のいい料理人のような男だ。 長い時間をかけて洗練されたクラシック音楽を聴くのはたしかに心癒されるけれど、かつてそこにあったはずの歪な面白みや息をのむほどの鮮やかさにもう手が届かないことを思って、時折どうしようもなくもどかしくなる。 |
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10月 2023
著者Yuya MASUDA |